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【協力隊の高畠トライアル】地域留学を振り返って~高畠体験プログラム2025年冬~

更新日:2 日前


こんにちは!高畠町地域おこし協力隊の

松原由侑(まつばらゆう)です。


3月上旬、雪の解け始めたこの季節、高畠では『地域留学』が開催されました。


町に訪れた女子大生と、

わちゃわちゃ過ごす日々…。

若いエネルギーを吸収した私です。(笑)


さて、今回の高畠トライアルは地域留学を運営側の視点から振り返っていきます。


仕事体験とも自主企画とも違う、

運営の一人として取り組んだ今回の活動

は、高畠に来て一年目の私の目にどんな風に映ったのか…。


地域留学そのものにご興味のある方もぜひ、ご一読ください。



~地域留学って何?~


地域留学とは、全国から集まった参加者が高畠町に1週間滞在し、高畠町で活躍するユニークな事業者さんと交わり、お話を聞いたり、実際にお仕事をしてみたり、はたまた町内のお店に出かけたりして町の暮らしを体験するという企画です。



高畠町が移住交流を促進する事業として採択、それを高畠熱中小学校(NPO法人はじまりの学校)が運営を行っています。

体験先や宿泊先との調整をはじめ、全体のプログラムづくりを熱中小学校の事務局が行い、そのプログラムへのアドバイスやPRの部分は『familyinn(ファミリン)』という田舎ホームステイを推進する企業に委託しており、全国各地の地域に関心のある人に向けて募集をかけて参加者を募っています。


地方や地域活動、田舎での暮らしに興味関心のある大学生や若者を主なターゲットとしていることもあり、プログラム開催期間はだいたい学生の長期休み期間に合わせています。

実際の募集対象は年齢問わず幅広いこともあり、社会人の方も参加することができます。


地域留学は2023年から開催しており、今回は6回目になります。

例年、夏と冬に2回行われているそうですが、今年度は夏の実施がなく、冬のみの開催となりました。


そんなわけで、私にとって初めての地域留学。

今回は体験者目線ではありませんが、参加者と同じようにどきどきで楽しみです。


プログラムのスケジュールは次のようになっています。



初日の月曜はプログラムの説明や懇親会があり、翌日火曜から金曜までの4日間は各企業様の方で仕事体験をします。

火曜と木曜には宿泊先の『愛犬のお宿 エビスヤ』さんにて課外プロジェクトが実施され、土曜には参加者が体験した高畠の日々を振り返ってのまとめ発表会が行われます。


知らない土地で初めて会う仲間とともに、高畠町に暮らすユニークな方々と生活や仕事を共にし、〈くらし〉〈なりわい〉〈コミュニティ〉を体験、体感する一週間。


実際にやってみるとどんなプログラムなのでしょうか。

私なりの気づきや感じたことを振り返っていきます。



~高畠へ関心を寄せて~


今回、参加者として集まったのは6名。東京近辺のほか、宮城、群馬、そして沖縄からと多方面から高畠まで来てくれました。全員女子大生です。



遠い所から、はるばる来てくれるなんて…

もうそれだけで十分学ぶ意欲が感じられますねぇ( ˘ω˘ )


元気で快活な子たちが多いなという印象です。

普段そういう若い世代の子たちといないからなのでしょうか。雰囲気と溢れるエネルギーに圧倒されています。(笑)


初日、まずはガイダンスです。

簡単に自己紹介。それから熱中小学校のことについてのお話、校舎を見学、その後、マイ探究ワークというものを行いました。




マイ探究ワークとは、自分の興味・関心のあるものを指定された個数書き出し、自分の興味を掘り出し、掘り下げるというものになっています。


20個ほど書いた興味を半分に…それからまた減らして…という具合に、最初出したものから少しずつ絞り、最終的には3つになりました。


この3つに着目しながら、この一週間を過ごすことで、各々に特化した学びを深めていけるようになっているようです。


残った3つは改めて自己紹介も兼ねて発表してもらいました。

そこで印象的だったのは、参加者各々の項目の多くが高畠に関連することばかりだったことです。


自然の中での暮らし、高畠の人たちの想いや考えていること、自分の大学での学びは高畠ではどうつながるのか。など…


確かに、今ここに、高畠にいること、こうしたプログラムに参加しているということも踏まえてという話はあったため、そういう意識ももちろんあるのでしょう。


とはいえ、考える範疇を限定はしていません。

ただ純粋に興味のあることでも、もちろんよいのです。


しぜんな反応で書き出され選定されていったのかもしれませんが、いずれにせよ、

純粋な個人的な興味関心より、高畠に来ているということを踏まえる想いが強かったのかな、と。


ちなみに私だったら何を書こうかと一緒に考えていたのですが、3つともかなり個人的なことでした。

まあ、一年住むと視点が変わってくるというのもあるのでしょうが。


個人的なことでも、興味・関心として挙げるようなことなら関連するポイントは見つかるはずなので、今回3つに入らなかった項目だとしても、無意識に考えてしまうこと、何かと目につくものなどは、自分の人生にとって大事なエッセンスだと思うので、そのあたりも素通りせず、気づきとして持って帰ってほしいなと思います。



      初日の懇親会の様子                     増田協力隊監修の特製バターチキンカレー



~見る、聞く、話す、体験する! 冬の高畠~


地域留学には、アグリコースとソーシャルビジネスコースの2種類があります。


アグリコースは複数の農家さんのもとで農業をメインに体験するコース、

ソーシャルビジネスコースは町の産業を盛り上げている企業さんのもとでお仕事を体験するコースです。

参加者はどちらを希望するか事前に決めて申し込みをします。 


プログラムに合わせた場所から場所への移動など送迎は事務局が行っており、私もその一部を担当しましたが、体験には始終同行していないことも多いので、どんな体験をしていたのか知らないことも多く内容を聞くことも度々ありました。


ある日、

「アグリコースではどんな体験したの?」

参加者に聞いて写真を見せてもらって、私は、わあ、すごいと一言。


ぶどうを使って調理するというのがアグリコースの2日目の体験メニューだったようです。

緑と紫のぶどうが盛り付けられた、見た目にも鮮やかな料理が目に飛び込んできました。



2日目の受け入れ先『obocograpes(おぼこグレープ)』さん(以下、おぼこさん)は、高畠の和田地区でぶどうを育てる農家さんです。


私もぶどうの栽培体験をしたことがあるのでわかりますが、ぶどうは春から農作業が少しずつ始まり、夏から秋にかけて収穫が行われます。

冬の間は木に積もった雪下ろしなど栽培に向けた準備等々は行われますが、農作業という農作業はほとんどありません。


そんな中で体験となると一体どんなことをやるのかと思っていたのですが、なんと冷凍ぶどうを使っての料理づくりの体験とは!


なんでこの季節にぶどうが?と思いましたが、そこまでしてぶどうと触れられる体験を用意してくださるなんて…

おぼこさんの配慮が素敵すぎます。


まずは何を作るのか決め、イメージを絵にしたら、

ホイップを絞ったり、ぶどうを切ったり…メニューづくりに挑戦です。



なんて写真映えする活動でしょうか。

明らかに美味しいものいっぱいのきらきらしたテーブルを見て、いいなぁ~、食べた~い、私の分も作って~!と私は写真に向かって叫んでいたのでした。(笑)


作る学生たちの目もきらきらしていて、美味しくて楽しい充実した時間だったのかなあと思います。


アグリコースはおぼこさん以外にも、お米を育てている『おきたま興農舎』さんや野菜栽培がメインの『しゃんくすろーど』さん、そしておぼこさんと同じくぶどう農家の『大野農園』さんにもお世話になりました。




農閑期(農作業が比較的少なく、落ち着いている時期)に、アグリコースって何をするのだだろうと思っていましたが、冬の農らしいことをさまざま体験したようです。



一方、ソーシャルビジネスコースでは、体験最終日の『ココ・デ・カシェット・イズミヤ』さんのときに、送迎から写真撮影まで密着するように関わらせてもらいました。


イズミヤさんでの仕事体験は私も去年に経験しているので、ほんのちょっとは仕事内容を把握しているつもりです。ほんのちょっとは(笑)


イズミヤさんでは私が体験したとき同様、最初に企業説明が行われ、経営方針等について聞く時間がありましたが、

そこで代表の庄司薫さんが、創業100年を超えているよという話をしたところで、参加者の一人が「ヤバ」と叫んだのが印象的でした(笑)


説明後、実際の体験が始まりました。

クッキーの生地を型取りしたり、丸めたり、袋に包んでシールを貼ったり、飲み物を作って出したり…

工場でのお菓子の製造から、カフェでのお菓子の提供まで広く体験しました。


余談ですが、最後にプレゼントのお菓子を一人ずついただいたのですが、そのときの「いえーい!」という声を上げての喜び具合に、これまた若さを感じました(笑)

私も叫んでいこう。



ここでの活動はしっかりと仕事体験だったという声や、それぞれの勤続年数の長さから会社の風土の良さを思う声など聞かれ、いろんな社員さんと話して体験がとても充実していたことがわかりました。


ソーシャルビジネスコースは移動スーパーの『とくし丸』さんや知的・精神障害を持つ方々のための『グループホーム はなみずき』さん、健康な体づくりやスポーツによる地域振興の活動をされている『Yamagata athlete lab.』さんにもお世話になりました。



アクティブな写真の数々から、多種多様な経験をしたことが窺えますね。



~誰かの当たり前の中に、驚きと尊敬は眠る~


初めて行くところ、初めてすること、

地域留学で来たみんなにとっては、新鮮で発見や驚きに溢れていることばかり。


“驚きと尊敬が溢れている“


イズミヤさんから温泉に向かう車の中で二人の大学生と話しながら、私はそんなことを思っていました。


へえ、初めて知った。

そんなことあるんだ。

なにそれ、すごい…!

おもしろそう!自分もやってみたい…!


そもそも それをこなしている人にとっては当たり前の、日常であり、彼ら自身にとっては何も珍しくはないことが、ぜんぶ新しい。


目新しさの中に、自分のこれまで見えてこなかった、知り得なかった興味・関心のアンテナが反応する。


同時に、そこには尊敬の念も生まれている。


ずっと長い間、この環境で、そのことを一筋にやってきていること。

決して利益が見合わなくても、それをやっていこうと決めたこと。

慌ただしくて体力もいるし大変だけど、毎日同じことを繰り返していること。

人を想う気持ちが自分を動かしていること。

自分の描く理想の会社や社会の姿を追い続けていること。


すごい、という一言には収まらないくらい、人の背景やそこにある決意と覚悟、そして熱い想いの一端に触れたんじゃないかな。




自分の普段の時間の使い方とは、

全く異なる時間の使い方をして生きている人に合わせて時間を使ってみるという体験。

それは本来、自分の人生を生きているだけなら知るはずのなかった世界を生きてみるということ。


体験最終日の夕方、今日の出来事と一週間を振り返り、

誰かの生活の一部を共有することは、もっと言えば、誰かを知ることは、

自分の世界を広げるんだなあと改めて思った私です。




~初めて送り出す立場になった私~


地域留学、最終日。


参加者は全員、昼過ぎの列車で高畠から旅立つとのことで、事務局そろってお見送り。


帰り際、参加者の一人が泣いてしまったことに、そこにいたみんながびっくりしてしまいました。

というのも、頭で考えることに長けていて落ち着いているタイプの、まさに理路整然といった感じの学生だったので、正直、真っ先に泣くとは誰も思っていなかったからです。


彼女は、普段頭を使っていることが多く、そういう環境から離れるためにも地域留学をしようと思ったと参加の経緯をまとめ発表の時に話してくれました。


都会で思考優位な暮らしをしてきたから、余計に心の振れ幅が大きかったのかもしれません。


彼女が泣いたのをきっかけに、まわりにいた参加者もつられるように涙を見せ始めました。


頭で考えてばかりじゃないから、

通り過ぎてしまう感情を受け入れる余白が自然とできる。

そうすると喜怒哀楽が豊かになる。

だから普段とは違う人柄が自他共に垣間見えるようになる。


それが発見になる。

こんな自分いたんだな、と。


そんな時間を提供できるのが、地域留学の良さなんだと私は思いました。


泣くということはそれだけ心が揺れたということ。

頭で、言葉で、説明できる感情を超えたとき、心は動き、涙は出るものだから。


感情に敏感になる、感覚が冴えていく。

それが生まれるのが、この自然という、田舎という環境だと思うのです。

地域留学は人生の中で大切な環境づくりをしているなと思います。



初めて、送り出す立場になったな。


両手いっぱいの荷物を抱えながら列車を待つ彼女たちに手を振りながら、私はそんなことを思ったのでした。




私は、今までこうしたプログラムにずっと参加する側でした。


大学時代から、高畠のような田舎での暮らしや働き方に関心のあった私は、こうした地域に関わったり滞在したりするという経験を高畠に来るまでの間、何度かしてきました。


地域へ伺うたび、帰るときには駅で私のことを現地の方が見送ってくださり、私は頭を下げてありがとうございましたと言って帰路につくというのが習慣でした。


帰路では、その土地でのことを自分の中で整理しながら、

私はどこで何をして生きたいのだろう…と、自分の人生の方向性に思考を巡らせはじめ、なかなか答えに辿り着かないことに、悶々とすることもありました。


いつかは自分も、受け入れ側の人になるのかな…


なんだか、現地にいる人が羨ましいというか、各々の道を選んで生きていっている感じが眩しくて、私も早くそんな風に自分の道を生きたいなと思ってばかりいました。


でも、今、

「またね~!」といいながら手を振って見送っている自分がいる。

気づいたら自分は、受け入れ側の人になっていた。


高畠以外の田舎にしばらくの間、住んでいたことはあります。

でも、なんとなくずっと、自分のやっていることが自分事のような気は今日ほどなかったのです。


それを思うと、どんな意識や想いで自分が何をやっているのかということが、自分の働き方にとっては大切なことで、

そして、そういう働き方を大切にできる環境を選ぶことが大事だったんだなあと自分を振り返って思うのです。


今度はどんなことをやっていこうかなぁ~と自分でおもしろいことを企てて、実際に動いていけること。

そういう時間を、それをカタチにできる場と時間をつくりたかった私にとって、今いる所は、あっているのかもしれませんね。


体験後のみんなの姿に、かつての自分を重ね、

自分にも高畠にも想いを馳せて、なんだか感慨深さすら感じる瞬間でした。


改札を抜けても、列車に乗っても、私たちは互いに手を振り合っていました。

私は列車が見えなくなるまで、手を振り続けていました。




~経験が未来に結びつく【一週間という期間を振り返って】~


なんとも密度の濃い一週間だったな…

写真を見返しながら、そのボリュームを感じる私です。


スケジュールの表記だけ見ると、とくに何も思うことなかったですが、

実際こなしてみると…、予定がてんこ盛りでしたね…。

個人的には水曜の交流会がけっこう堪えた感じがあります…。(歳のせい…?笑)


エビスヤさんの利用客数を増やすためには、今後どんな取り組みがあったらよいのか。

火曜と木曜に実施した、宿泊先エビスヤさんのこれからを考える課外プロジェクトでは夜遅くまでチーム内で話し合いをしていたそうで。寝る時間は夜中になっていた人も多いとか。




本当に熱心にアイディアを考えていて、プレゼンまでしっかりやってくれて…エビスヤさんのことですが、自分事であるかのように嬉しいです…!


それ以外の日は、懇親会や交流会、打ち上げとあれば…

若いゆえにあるエネルギーで乗り切れているのかもしれませんが、毎日寝不足になりそうな…。


そして、最後には地域留学を振り返ってまとめの発表会。


午前中には個々の振り返りを、午後にはコースごとの発表を一般公開で行いました。


地元で地域留学を開催したい…

自分の興味関心のあることを探究するために、インターンしたいと思う企業さんに出会った…

もっと農家さんの仕事を支えられるようなことは何かないのかを考えるようになった…

利益につながらないこともたくさんあって、それでもそれを仕事にするってすごいことだと思った…


などなど、発表ではさまざまな声が聞かれ、

各々がどんな想いで過ごしていたのか、今 何を考えているのか、よくわかる時間でした。

素敵な発表をありがとうございました!



せわしなく あっという間、それでいて一つ一つはゆっくり過ぎていくような、頭も体も心もフルに使う、疲労感もありながら、何とも言えない充実感もある日々になっていたんじゃないかなと思います。


情報なのか、感じたことなのか、考えたことなのか、その行動なのか…

高畠で触れた何かが、一人ひとりの中にある興味関心のあることと引っかかり、結びつき、今後の選択を考えるきっかけになっていればいいなと思います。


地域留学に来てくださった皆さん、朝から晩まで一週間、本当にお疲れ様でしたっ!

そして来てくれてありがとう!!


またいつでも、遊びに来てくださいね~!

事務局はもちろん、今回出会った方々も、いつでもみなさんが遊びに来るのを楽しみにしています。


そして、プログラム実行にあたり関わってくださったすべての方へ、この場で御礼申し上げます。ありがとうございました。


ここ 高畠で過ごした時間が、たくさんの人にとってよき時間になっていれば幸いです。


※写真閲覧はパソコン推奨です。




***************


~地域留学の体験先が記事になっています!~


地域留学でお世話になった、いくつかの体験先には、わたくし松原が仕事体験に伺っています。その体験を記事にしていますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。


■『大野農園』さん


■『移動スーパー とくし丸』さん


■『愛犬のおやど エビスヤ』さん


■『しゃんくすろーど』さん


■『ココ・デ・カシェット イズミヤ』さん



地域留学をはじめ、田舎滞在プログラムを提供しているファミリンさんのサイトも、ご興味ある方はご覧ください。


●『ファミリン | 田舎ホームステイで非日常体験』



それではまた別の記事で!お楽しみに~☆





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