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【協力隊の高畠トライアル】ココ・デ・カシェット イズミヤさん

こんにちは!高畠町地域おこし協力隊の

松原由侑(まつばらゆう)です。


ついに、町に雪が積もり始める時期が到来しました。

気温はぐっと冷え込み、なんだか気分も下がりがち…。そんな方も多いのではないでしょうか?


そんなあなたにおススメ

気分が上がること間違いなしの美味しいお菓子とあったかい飲み物が楽しめる、

とっておきの隠れ家カフェで、今回はお仕事体験をさせていただきました。


地元から愛されるお菓子屋さんの裏側をレポートします!



~美味しいお菓子がお客様に届くまで~


今回、ご一緒させていただくのは、高畠町の糠野目と福沢にあった店を閉め、今年4月、「ココ・デ・カシェット イズミヤ」と名前を変え、亀岡に新しくカフェ併設の店舗をオープンした「菓子工房 COCOイズミヤ」さん。

お菓子を作り続けて100年を超える、高畠を代表する老舗のお菓子会社です。


置賜弁で食べさせるという意味の「かしぇる」の語感から採用して、お店の名を「ここでかしぇっと」、フランス語にして「Coco de cachette Izumiya」にしたといいます。


店の入り口に進む途中、左手に小さなお家が一軒、ぽつんと佇んでいます。

「カシェット(Cachette)」とは隠れ家を意味する言葉。隠れ家、秘密基地を想像させるような、こじんまりした可愛い空間づくりも、名前にちなんだイズミヤのこだわりなんだそうです。


後ほど中を見せていただきましたが、アンティーク調で小洒落た雰囲気が漂っていました。

この場所で小さなお茶会もできそう…!





「こんにちはー!よろしくお願いします!(松原)」

扉を開けた途端、甘い匂いに身体ごと包まれました。


ああ、いい匂い…。まだ10時にもなっていないですが、もうお腹が空いてきました。



イズミヤの建物内部はお菓子を売る店兼カフェの販売部門と、お菓子を作る工場の製造部門の2つに分かれており、今回は両方とも少しずつ体験をさせていただきます。



【製造部門のお仕事体験】


体験初日、さっそく制服に着替えて、気分はすっかりパティシエです。

うん、なんかすごいお菓子が作れそうな気がしてきた…っ!(←気のせい)


さっそくまずは、工場の業務に加わらせていただきました。

ケーキはもちろん、クッキーなど焼き菓子に、パンやパフェ。イズミヤで提供する商品のすべてはこちらの工場で製造されています。


まずはルシアンクッキーづくり。ルシアンクッキーとは、雪のように白く、小さく丸い見た目から、別名スノーボールクッキーとも呼ばれます。口に入れると、ほろほろっとほぐれるような優しい口当たりのクッキーです。


まずは、生地を丸めていきます。

丸めるだけと言われればそうなのですが、他のスタッフさんのように手早くはできず…。

私としては手早く丸めているつもりなのですが…、全然スピードが違いますね (・・;)

あっという間に鉄板一枚が埋まっていきます。

こうした単純作業一つとっても、日々の積み重ねなんだなあ…と早速 実感。


丸めたものは均等に間隔を開けて鉄板に並べ、オーブンに入れ焼いていきます。

よく見ると鉄板が二重になっています。これは焦げ防止のためです。



焼けたものが冷めたら、今度はなんともきめ細かい砂糖たっぷりの袋の中へ。

この袋の中でお菓子に砂糖をしっかりつけていきます。



砂糖と混ざり合ったら、袋詰めです。掴んだ跡が目立たないよう注意しながら、割りばしでお菓子の両端を掴み、袋に入れていきます。



なかなか掴みづらいこともありますが、跡が付かないように慎重に一個一個取っているため、これまた時間を要している私です…。


包装袋は機械に通して熱でしっかり口を閉め、最後は原材料の記載されたシールを貼って完成です。

こうしてようやく店頭に商品として並ぶのですね。ふー、やっと完成だぁ♪



続いて、タルトの生地づくり。

親指と人差し指を使って、型に沿わせるように生地を押していきます。上側も型に収まることを意識し、カップの生地の厚みを均等にしていく作業です。

優しい押し方では型がうまく取れませんが、しっかり押しすぎると生地が薄く伸びてしまい割れやすくなるのでそれも良くないそうです。


うーん、底も淵も同時に形を整えていくって難しい…。力加減がわからんです…。



形が決まったら、底にフォークで空気穴を開けていきます。すでに生地には、ある程度穴をあけてあるものの、それでは少ないため、より増やす作業をします。これをしないと焼いている最中に生地が膨らんで壊れてしまうんだそう。


フォークを刺すだけなら、私でもできます…っ。(←得意気)

しかし、空けすぎると生地が弱くなり、中身が出てしまうため注意が必要なんだとか。

…うーん、やっぱり加減が難しい…(;´・ω・)



また、パン作りにも挑戦させていただきました。

もっちもち、ふわっふわ。生地はまるっとした可愛らしいフォルムですが、その可愛さとは裏腹に、こねる作業はなかなかに力がいります…。


指先じゃなくて、もっと手のひらを使って…

真上からしっかり押すように…!

全身を使って体重を乗せるように…!!

力を入れすぎるとレーズンが出ちゃうから気を付けて…!!!


工場をメインに働く彩(あや)さんに、こねる度に、そうじゃないよと言われ、そのたびに上記のようなご指導を受け、生地と向き合い直しました。

ですが、技術指導のたびにちゃんと出来ていたのは「はいっ!」という元気な返事だけのようで、彩さんのこねる生地のように、私がこねている(つもりの)生地はもっちりしていません…。むしろどんどん、もっちりから遠ざかっているような…。


意識してやっているつもりなんですが…

一向に私の技術は上達せず…うまくならないまま気づけば作業は終わりました。

自分のパン作りのセンスの無さに自分でびっくりです(笑)


写真はスタッフの方がパン作りする様子。当然ですが、手際が違います。
写真はスタッフの方がパン作りする様子。当然ですが、手際が違います。

ある日の開店前、完成したケーキを続々とトレーの上にのせていきます。

ケーキの上にピックを挿すお仕事を任された私は、用意された見本を脇に、ピックをちょこんとのせていきます。

ピックとはお店の名前がプリントされた小さなカードのことです。


軽くのせるようにするだけでは、なんだか心元なく、つい力が入ってしまう私。

あ、なんだか見本より深めに挿さっている気がする…。


すると、スタッフさんからご指導を受けました。

ピックは少し傾けてください。ショーケースを斜め上から見下ろしたときにも、ケーキをお客様にちゃんと見てもらえるようにするためです」


だいたい45°くらいかなと言われ、私はピックの角度に目を向けました。

見本を見ていたはずなのに、気づいたら深さにばかり気を取られてしまっていて、ピックはどれも垂直に挿さっています。

適度に傾いた見本を見ながら、意味も意識して、もう一度挿し直していきます。


傾けてのせることには、そんな意味があったとは…!

細部まで手抜かりなく、最後の最後まで丁寧に仕上げる。

見た目を整える この一手間こそ、お菓子作りの醍醐味かもしれません。




【販売部門のお仕事体験】


続いて、販売に関わる業務を体験させていただきました。


販売部門を中心に仕事をしているスタッフの美夏海(みなみ)さんにお仕事を伺います。


「お客様から見たときの商品の見やすさを意識しています。ケーキのショーケースは指紋など汚れが目立ちやすいため、アルコールで消毒しながら拭いていきます。

また、ケーキは色味が偏らないように色のバランスを考えて並べています値札やトレーの向きや位置、間隔も、置いた後に正面から見て、お客様からの見え方を確認します。

そのほかにも、売り場の棚のお菓子も見やすく配置することや、売れたらすぐに補充することも心掛けています(美夏海)」



お話いただいたことに気を付けて商品を並べると…

おお、確かに綺麗に見えます。ピックも見やすいです。

美味しいものを ちゃんと美味しく見せるって大切だなあと、見栄えを気にすることの必要性を痛感しました。


見栄えよく陳列するのは、ケーキとお客様が顔合わせする瞬間だからこそ。

そのお客様と目のあったケーキが選ばれていくってことですね。


イズミヤでは季節ごとに、販売するお菓子やカフェのメニューが変わります。

その食材が一番美味しい旬の時期に、しっかり味を楽しめる形にしてお客様に提供しています。ショーケース上段に並ぶ、苺のタルトやミルフィーユなど、苺を使ったケーキは冬ならではです。


お菓子に使用する材料はなるべく地元にこだわり、地産地消を意識しており、この時期の主力商品「こりすのふゆじたく」は高畠産のデラウェアを100%使用した、レーズンバターサンドです。

体験に伺った数日だけでもギフト用の箱詰めを何度かするほど、大変売れ行きの良い人気商品であることがうかがえました。


お店が空いているのを見計らって、お菓子の補充をしていきます。

左手側にある入り口からお客様は入ってきます。進行方向を考えると、なるほど確かに、お皿は左側に傾けて商品を並べると見やすいですね。





クロワッサンや食パンの袋詰めもさせていただきました。


うーん、クロワッサンからバターの優しい香りが…。

ほかほかのクロワッサンはある程度冷めたものを、袋に入れて閉じていきます。


外側の生地がなるべく剥がれてしまわぬよう、丁寧に袋へ。

形が悪くなってしまったものを私はいただいたのですが、外はさっくり、中はしっとりで香りも良くて本当に美味しいのです…!

私はすっかり気に入ってしまったので、また買いにいこうかと思うほど。




このほかにも、ケーキの箱詰めから商品のお渡しまでも、(ばたばたしながらですが)こなす日も。土日には洗い物のほか、トーストを焼いたり、ドリンクを用意したりしてカフェのお客様への提供の体験や、化粧箱の補充のため屋根裏部屋に行くなどギフトを作る際の事前準備にも取り組むなどしました。


        ギフトの準備中                チーズたっぷりトーストが焼きあがりました



工場部門と販売部門、商品がお客様の手に届くまでの裏側をほんの少しですが、細かい部分まであれこれと体験させていただきました。

一つのお菓子が口に入るまでには、とってもたくさんの過程を経ているんだなあ…としみじみ感じました。



~心を一つに、会社をつくる~


ほっと心がほぐれるような素敵な空間とこだわりのお菓子の数々を届けるイズミヤは、

「心がふれあい、身体が満ち足りるひととき」をコンセプトに掲げています。


心に響き、心に残るおいしさで笑顔と元気を届けること

人々の想いをつなぎ お菓子の和で地域に夢を届けること

菓子への志をひとつにして 夢を育み、一緒に幸せを築くこと


こうしたことがイズミヤの理念です。


現在代表をしている、庄司薫(しょうじかおる)さんの曾祖母がイズミヤを始め、3代目の父から家族経営となった店を薫さんが引き継ぎました。


代表の薫さんも一緒にお菓子作りをしています
代表の薫さんも一緒にお菓子作りをしています

″ 何のために、私たちはお菓子を作るのか ″


それは、この地域、そして人を幸せにするため


自分たちのやっていることが果たす目的を明確にし念頭に置くことで、お菓子を作って売るということは単なる作業ではなく、社会的意義のある仕事であるという認識を前提として持って働くことをイズミヤでは大切にしています。

そのうえで、コンセプトを達成するための、理念に基づいた様々な取り組みをスタッフ一丸となって行っています。


先述した、季節の食材を使ったお菓子作りや、それら食材を町内など地元の生産者さんから仕入れること、そして私が実際の仕事の体験をしているようにインターンシップの受け入れなどを行うことも理念に即した試みです。


その中の一つとしてイズミヤが実施しているのが、スタッフ全員で顔を突き合わせて行う、月2回の会議です。


1回目の会議では、先月の売上報告を共有し、店の目標と比べてどうであったかをみんなで振り返ります。

2回目の会議では、今後のイベントなど店がより充実するような企画について話し合いをしたり、日常業務について疑問があればそれについて解決したりすることを目的にしています。


また、イズミヤには委員会というものがあります。


・健康や衛生面を管理し快適な勤務状況をつくる委員会

・コミュニケーションのとりやすい会社づくりをする委員会

・整理整頓による業務改善を促す委員会


の3つです。


会社という単位では論点や目標、規模などが大きく、全体を掴みづらいことで達成感は得にくいものかもしれません。

しかし、小さな組織であれば発言もしやすく、決めたことがうまくいったなどの成功体験も積みやすい、また、新しく入ってきた人も会社の雰囲気に馴染みやすいこと、仲間意識が強くなるというメリットも多いことから、委員会単位での活動が始まったそうです。

スタッフは必ずいずれかに属すとのこと。


どの委員会もすべて社員の労働環境を整え、気持ちよく、意識高くお菓子作りに向き合うために設けられており、円滑な職場をつくる基盤になっています。


そのほか、スキルアップのための講習会に随時参加しているのだそうで、販売部門では新幹線の車内販売の体験に行くなど、同じサービス業でも異業種の方からお話を聞くなどして知見の幅を広げているそうです。


どうしたら選ばれ続ける店に、発展し続ける店になるか。

この店で働く一人一人が主体的に店の経営に関わり、在り方を考えています。


クリスマス仕様のカフェスペース。高畠の景色が見渡せる、開けた空間。
クリスマス仕様のカフェスペース。高畠の景色が見渡せる、開けた空間。

【何気ない会話が築く、強いチームワーク】


今回、私の体験を主にサポートしてくれているスタッフの遠藤由美(えんどうゆみ)さんは、イズミヤという会社の強みはスタッフの一致団結力の高さだといいます。


「どんなことも共有しあっているし、コミュニケーション力は他の会社よりもあるんじゃないかなと思います。仕事以外にプライベートなことも話しますし、相手のことをよく知ったうえでコミュニケーションを取ることができていることが、仕事での円滑なやり取りにもつながっていると思います(由美)」


高校を卒業して入社し、3年程だと言うスタッフ最年少、紅羽(くれは)さんは、仕事では気づいたことや思ったことはすぐに言うことを心掛けていると話をしてくれました。


仕事中に商品が少なくなったり、販売に必要なものがなくなったりして、人に伝えなくてはいけない場面で、店や工場が忙しいときはもっと忙しくさせてしまうかもしれないと思うと、言うのをためらいそうになってしまうことがあるそうです。

しかし、言わないことでお客様に迷惑が掛かってしまってはいけないと、早く言うことを意識して仕事に取り組まれています。


言うべきことは、ちゃんと伝える。

それができるのは、普段からのコミュニケーションがあるからだそうです。


「休憩時間や日常の仕事の中で、仕事とは関係のないことをよく話しています。立場関係

なく、その人個人のことを知り、お互いに言いたいことを言える関係性が出来ていくことで、相手を信頼して仕事でも伝えるべきことが伝えられているなと思います(紅羽)」


紅羽さんは、もし何か仕事以外で悩み事があったときには相談もしやすいと感じているそうで、仕事だけでなく人生においても先輩にあたる皆さんの存在を頼りにされているとのこと。


由美さんもお話しされていたように、好きなものや家族のことなど業務とは直結しない日々の会話の積み重ねが信頼を構築し、それは仕事にも影響しているようです。


また、イズミヤで働くスタッフは全員女性です。小さい子どものいる家庭も多く、子どもの行事や突然の体調不良で休みが必要な場面が度々でてきます。そんなときも互いに理解があるゆえに、安心して仕事を休めているという声も、体験中には聞かれました。


勤務年数が長くなるほど、物事が変化する場面にも数多く直面します。仕事がうまくいかずに悩むことや、ときに人とぶつかることはつきものです、この仕事を続けていくかという迷いを抱くこともあるものです。

それでもその度に自分の考えや気持ち、そして会社と向き合って思い留まり、働くスタッフの皆さんそれぞれが、今日までイズミヤで尽力されています。


時々立ち止まることはあっても、忍耐強く、それでいて前向きに、仲間とともに切磋琢磨する。公私問わない頻繁な広く深いコミュニケーションは、お客様を幸せにするという一つのゴールに向かう、チームイズミヤの団結力を育んでいるのだと思います。




組織づくりやその中で決まったこと、そして普段の仕事でのやり取りなど、会社としてある形式的なものごとの切実な実行はもちろん大切なことです。


けれどもまずは、志を同じくして目の前のことに勤しむ姿勢。それこそが会社の運営として肝要なことで、それがブレずにあることが日常の心構えをつくり、あらゆる取り決めごとの達成度を変えていく、ひいては理念に寄り添い、コンセプトにかなう店づくりにつながっていくのだろうと思います。



~イズミヤを牽引する二人の取締役~


現時点では薫さんが代表取締役を務めるイズミヤですが、会社にはほかに二人の取締役がいます。

強みを話してくれた由美さんと、薫さんの娘の戸田茜(とだあかね)さんです。


イズミヤで働いて17、18年近くと、勤続年数も長いお二人。

現在、茜さんは販売部門を、由美さんは製造部門を主に取りまとめていますが、イズミヤに関わる全てのお仕事をこなせるとのこと。

各部門を管理するのはもちろんのこと、店全体の統括、そして社長代行として薫さんと同じ立場で仕事もしていくのが取締役という立場なのだそう。


由美さんは、現在のイズミヤにいるスタッフの中で、最も早くに入社しています。

以前、糠野目にあったイズミヤの本店に実家が近かったことから、幼少期から事あるごとにイズミヤにお世話になっていたといいます。

元々お菓子作りが好きだったこともあり、料理を中心に勉強したものの、やはりお菓子を作りたいと気持ちが固まったとき、地元高畠で働きたいという想いからイズミヤでの就職を真っ先に考えたとのこと。

途中、当時の会社の経営が肌に合わず一度は辞めたこともあったそうですが、運営形態の転換を機に戻り、現在までずっとイズミヤでお仕事を続けられています。


フロランタンに使う材料を混ぜる由美さん
フロランタンに使う材料を混ぜる由美さん

もう一人の取締役である茜さんに、この仕事に対する想いをうかがいました。


「本当に素敵な仕事をさせてもらっているなと思います(茜)」


当初、茜さんにとっては会社に就職するというより、祖父母の家(店)に行くというような感覚が強かったそうですが、祖父の仕事の手伝いから始まり、気づけば高校卒業後からイズミヤ一筋に。5年後には薫さんから会社を引き継ぐことが現時点で決まっているとのことです。


「普段から、子どもがケーキを食べることはあるけれど、それとバースデーケーキは別物で。やっぱり、すごく喜んで食べてくれる。そんな特別な日に自分の仕事を通して人を笑顔にできるって幸せなことだなと感じています(茜)」



そんな茜さんには、ある野望があると言います。

それは、「和菓子を若い人にも広げていくこと」。


もともとは和菓子の店だったイズミヤ。茜さんは和菓子が好きで、洋菓子中心の店となった今も和菓子をなくさないよう、季節ごとに一つは商品を作るようにしているといいます。

最近の若い世代の人たちは、和菓子に対する関心が薄い人やあまり好きではないという人も多いようです。和菓子の要素を活かした、現代に広く受け入れてもらえるよう工夫したお菓子作りにも励んでいきたいそうです。


好きなものであり、かつてのイズミヤをつくったお菓子。

歴史も絶やさず、次へ繋いでいく。

描く未来にはそんな深い想いも感じ取れました。


イズミヤにおいて、経験や知識、技術も圧倒的なお二人。

これまでを深く知っているからこそ、視座が高く、広い視野を持って多方面からイズミヤの発展や魅力づくりにアプローチされています。

考えることの尽きない毎日。悶々とすることがあっても焦らず腐らず、成果がすぐに出るわけではないから地道に進むしかない道を一歩ずつ。

並々ならぬ熱い想いを胸に、イズミヤの中核を担い、渾身の力で仲間の背中とイズミヤの確かな成長を日々、支えています。



~イズミヤの一日~


朝、8時過ぎ、イズミヤには続々とスタッフさんが出勤してきます。

それぞれ持ち場につき、開店前の作業を進めていきます。


8時55分

ラジオ体操第一の音楽が店内に流れ始めました。

イズミヤでは、仕事で頭を動かすために体を動かそうということと、朝礼を9時から始められるようにすることを目的に、雨の日はラジオ体操を行っています

晴れの日は外で草むしりをするそうです。




●9時

朝礼が始まりました。

昨日の売上の報告や売れたお菓子、店内の様子などの共有から始まり、製造するお菓子の種類や担当など、本日の仕事の確認や事前の打ち合わせ等をしていきます。




●10時

開店の時間です。イズミヤではお茶を飲む時間でもあります。

昔からイズミヤでは、10時になるとお茶を出し、スタッフみんなで一息つくという習慣があるとのこと。お店が忙しいとなかなかその時間も取れないそうですが、それでも休息の ちょっとした会話が生まれる時間づくりは続けたいという想いから、お茶を飲む場をつくることは継続しているそうです。



●午前中

この日は12月からカフェで提供予定という パフェの試食が行われました。

聞くと、米沢の「フルーツショップ キヨカ」さんのフルーツで作ったものだそう。

キヨカさんは、新鮮で質が高く美味しい果物を扱う 地元でも人気なお店です。




出来上がった試作品を私も味見させていただきました!

キウイにパイン、みかんに苺…モリモリなフルーツの中には、これまた米沢の「はまだ牧場」さんの生乳ジェラートが入っていて、なんとも贅沢な味わいに。両者の美味しさがより引き立つ一品です。トッピングされたナッツがアクセントになっています!


●お昼

12時からと13時からの2部に分かれて、交代で休憩を取ります。

なるべくスタッフそろって食事を摂るようにしたいとのことで、月1回は全員で集まっての昼食タイムを設けているそうです。


そのお昼、スタッフさんたちが何やら準備を始めました。

なんと、テーブルの上に味噌汁が並び始めました!


え、味噌汁…? ケーキ屋なのに…? いつ作ったんだろう…?


この、お昼に味噌汁を出すという日課はスタッフの健康を気遣って薫さんが始めたそう。

忙しいと栄養バランスが偏りがちになるため、少しでも野菜を採ることを考え、休憩前にスタッフ自身で毎日手作りしています。



●午後(落ち着いている時間には…)

イズミヤでは、新規でお店のポイントカードをお作りになったお客様には、ポストカードをお送りしています。

感謝の気持ちはもちろん、お客様がご購入された商品やカフェでご注文されたメニューに触れたメッセージを添えて、その日のうちにポストへ投函します。


私も一言、書かせていただきました!

美味しいものはまだまだあるからまた来てね~といったような気持ちで言葉を綴ります。


お客様のことを覚えているということを表すのと同時に、時間を空けずにこちらからアクションを起こしお客様と繋がっていく。お客様との関係を一度で終わらせず、長く続けていくための秘訣ですね。


また、カフェのテーブル上にはノートとペンがあります。

これは、カフェにやってきたお客様が、この場所で過ごしたことを思い思いに言葉や絵を書けるようにするために置かれています。


開いてみると、ノートには多様な字体やイラストがいっぱいです。心がほっこりする文章もたくさん書いてあります。ページをめくると至る所にリスがいますね。

店にとって励みとなる言葉を受け取りながら、それらにスタッフが言葉を返し、そのとき一緒にリスのスタンプを押しているのです。ノートはお客様とスタッフのコミュニケーションツールになっています。


スタッフ間のコミュニケーションのみならず、こうしたきめ細かいサービスにも取り組み、お客様と丁寧に向き合ったコミュニケーションも大切にしています。



●夕方、16時を過ぎた頃

暗くなるのが早い冬場、庭のイルミネーションを点灯します。

あたりが薄暗くなると、店先は光の粒で よりあたたかな空間を演出します。




~この地に根を張り、歴史をつくり続ける~


笑顔の真ん中に、自分たちの手掛けたお菓子があるということ。


今は数多くの食べ物、料理が世の中に溢れています。

それでも、ケーキにある特別感は、いまだにたくさんの人が持っています。


変わり続けていく時代のニーズも踏まえながら、移ろう季節を加味したメニューの考案やイベントづくりなど、これまでにはなかった “新しい” をかたちにしていく日々。

それでも、人が幸せを感じられる時と場所をつくるという目的を同じくして、ケーキをはじめとするお菓子作りに奮闘するイズミヤの日常は何も変わりません。


イズミヤはこの先も、この地域で末長く、歴史と想いを紡いでいきます。




~体験を振り返って~


以上、ココ・デ・カシェット・イズミヤさんでの体験でした!

体験中、いくつかケーキやクッキーをいただいたのですが、どれも美味しいものばかりで…。

本当に美味しい それらお菓子の根っこには、目標に向かう協力体制、徹底した丁寧な組織づくりがあり、その背景には長く濃い厚みある歴史がある。

気づくこと、感じることの多い仕事体験となりました。

四季を味わえるからこそ、年間を通して何度でも あしげく通いたくなるお店、イズミヤ。

ぜひ、みなさんも足を運んでみてください!


************


この体験をもって、私の仕事体験は終了となります。

全5回にわたる仕事体験記、いかがでしたでしょうか。

読んでくださった皆様、ありがとうございました!

これからは別の角度から、ユーモア溢れる私らしい記事を書いていく予定です。

引き続き、よろしくお願いします~!


それではまた別の記事で。お楽しみに~☆


 

【今回の体験先】

 企業名:株式会社 菓子工房COCOイズミヤ

 住所:山形県東置賜郡高畠町大字亀岡4676

 電話:0238-20-6668

 お問い合わせフォーム:https://www.cocoizumiya.com/contact


   




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